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最終更新日:2021/1/5

      

2020/11 細胞周期のON-OFF光スイッチを可能にする光応答性CENP-E阻害剤を開発し、試薬として販売されました。














    
























 





研究室では、光分子スイッチを合成し、様々な分子機能を光で動的に制御する研究を行っています。最近ではモータータンパク質の運動機能を完全にON-OFFスイッチすることに成功しています。次のステップとしては、よりマクロな現象を分子スイッチによって制御することが重要であると考えられます。本研究では細胞分裂時に染色体移動を司っているモータータンパク質に対して光応答的に阻害効果を示す化合物を合成し、細胞分裂というマクロな事象を光スイッチすることを目指しました。 細胞分裂にはいくつかのモータータンパク質が働いていますが、今回はいわゆるM期において染色体の赤道面への運搬を司っているモータータンパク質CENP-Eの光応答的阻害を目指しました。CENP-E阻害剤は現在、細胞分裂を頻繁に繰り返しているがん細胞を死滅させる抗がん剤の候補として期待されています。阻害剤に光応答性を付与できれば、それをがん患者に投与し、必要なタイミングで必要な場所で、阻害効果を生む波長の光を照射することで、その場所のがん細胞の細胞分裂をストップしてアポトーシスへと導き、がん細胞を選択的に死滅しうると考えられます。また、がん細胞へ作用したあとは、阻害剤は正常細胞へと拡散しますが、その前に阻害効果を消滅させる別の波長の光を照射することで、正常細胞への副作用を低減できると期待できます。 合成した光応答性CENP-E阻害剤の構造を図(上)に示します。本阻害剤は、可視光照射後にはCENP-EのATP加水分解活性を阻害し、紫外線照射後にはその阻害活性が消失しました。また、がん細胞内で染色体移動を光可逆的にスイッチできることも確認しました(図(下))。さらに、可視光照射後には細胞内のCENP-E阻害のために細胞死へと導くこと、一方で紫外線照射後は細胞には影響がないことを確認しました。以上の結果は、光化学反応による細胞周期の動的制御をはじめて示したもので、細胞周期研究における有用なツールを提供するだけでなく、光によって薬理作用をスイッチできる抗がん剤開発への展開も期待されます。
本化合物の合成に関しては、最新の合成技術を紹介する雑誌"Synfacts"で紹介されました。
本化合物に関して、株式会社フナコシが”PCEI-HU”の商品名で試薬としての販売を開始しています。
本研究は、北海道大学生命科学院上原亮太准教授との共同研究です。本研究は、公益財団法人東京応化科学技術振興財団からの助成を受けています。

   
     

Noushaba Nusrat Mafy, Kazuya Matsuo, Shota Hiruma, Ryota Uehara, Nobuyuki Tamaoki, "Photoswitchable CENP-E inhibitor enabling the dynamic control of chromosome movement and mitotic progression""
J. Am. Chem. Soc., 2020, 142, 1763-1767

2017/11 モータータンパク質に対する光応答性高エネルギー化合物に関する論文が雑誌のInside coverを飾りました。














    








これまでに当研究室では、アデノシン三リン酸(ATP)に代わって高エネルギー化合物として働き、かつ高エネルギー化合物としての活性を光で可逆的にスイッチしうる「光応答性高エネルギー化合物」AzoTP ()を開発し、モータータンパク質キネシンに与えて、その運動速度を光で可逆的に約80%スイッチできることを示してきた(N. Perur et al., Chem. Commun., 2013, 49, 9935)。光による活性の変化は、AzoTP内のアゾベンゼン部位のトランス−シス光異性化に伴うキネシンに対する親和性の変化に依っている。今回、AzoTPの働きの一般性およびマクロな運動系への適用の可能性を明らかにするために、ATPを基質とするもう一つのモータータンパク質ミオシン−アクチンを用いたモーティリティー実験、筋繊維の収縮現象といったマクロな運動現象へAzoTPを適用する実験を行った。その結果、AzoTP及びその類似化合物は、ミオシン−アクチンの運動をほぼ100%ON-OFFの速度比で光スイッチできること、シス体では約1cmの筋繊維の収縮が起こらないものの、可視光を当ててトランス体にすると直ちに約40%の筋繊維の収縮が起こることを明らかにした。本研究は、AzoTP及びその類似体が、一般にATPを基質とするモータータンパク質の光応答性基質として働くこと、及び、マクロな運動現象を光スイッチしうることを明らかにし、モータータンパク質を活用するマクロな分子機械の駆動−制御方法に利用するために有効であることを示した。本研究成果を模式的に表した絵は、本論文を掲載した英国王立化学会の雑誌”Organic & Biomolecular Chemistry”誌のInside coverに使われた。

   
     

Halley M. Menezes, Md. Jahirul Islam, Masayuki Takahashi and Nobuyuki Tamaoki "Driving and photo-regulation of myosin-actin motors at molecular and macroscopic levels by photo-responsive high energy molecules"
Org. Biomol. Chem., 2017, 15, 8894-8903

2016/11 微小管1本1本の運動の光制御に成功しました。






    



    



われわれは、生体内で働いている分子機械を人為的に精密に制御する方法を開発することで人の役に立つ分子システムを構築できると考え、キネシン−微小管モータータンパク質系に働く光応答性分子の研究を進めています。すでに、生体由来の分子機械の一つであるキネシン−微小管系に対して働く光応答性阻害剤を新たに合成し、それを加えることで、微小管の滑り運動の自由な光ON−OFF制御を報告しています。 (ナノテクノロジー関連web site “Nanowerk”を参照) 今回は、より高性能な光応答性阻害剤の合成、好きな場所で5マイクロメートル程度の微小領域を照射できる装置の開発、全面照射と組み合わせる新しい照射方法により、初めて1本の微小管の光操作、切断、多数の微小管の一定領域への濃縮に成功しました。 本成果は、ナノテクノロジー関連web site “Nanowerk”でNanotechnology Spotlightsとして取り上げられました。 左の図は、キネシンの活動によって滑走する1本の微小管(チューブリンというタンパク質のチューブ状集合体)の運動が光操作される様子の模式図。下の動画は、1本の微小管のみを滑走させている様子を示している。

   
     

K. R. Sunil Kumar, Ammathnadu S. Amrutha and Nobuyuki Tamaoki "Spatiotemporal control of kinesin motor protein by photoswitches enabling selective single microtubule regulations"
Lab Chip, 2016, 14, 4702-4709

2016/07 モータータンパク質に対する光応答性阻害剤に関する論文が雑誌の表紙を飾りました。






    



これまでに当研究室では、モータータンパク質キネシンの自己阻害能を示すテール部の構造を模倣した11アミノ酸残基からなるペプチドと光異性化反応を示すアゾベンゼンを化学結合で繋いだ化合物を合成し、この化合物がキネシンの運動に対して可逆的に光応答する阻害剤となることを報告していた(K. R. Sunil Kumar, et al, ACS Nano, 2014, 8(5), 4157-4165)。今回、11アミノ酸残基のうち必須のアミノ酸とその配列を明らかにし、より優れた光応答性阻害剤を見出すべく、種々のペプチドアゾベンゼンを合成し、その構造―物性相関を調べた。その結果、7つの非常に重要なアミノ酸残基の配列が明らかになり、また、アゾベンゼン部位にメトキシ基を導入することで、物性が向上することが明らかになった。本研究は、生体で働くモータータンパク質を人工的な物質輸送材料として応用しようと考えた時に、如何に分子設計すればよいかについて指針を与える重要な成果である。本研究成果を模式的に表した絵は、本論文を掲載した英国王立化学会の雑誌”Organic & Biomolecular Chemistry”誌の表紙に使われた。

   
     

A. S. Amrutha, K. R. Sunil Kumar, K. Matsuo and N. Tamaoki "Structure-property relationships of photoresponsive inhibitors of the kinesin motor"
Org. Biomol. Chem., 2016, 14, 7202-7210

2014/10 新しい絶対不斉反応を見出しました。

自然界では、アミノ酸や糖のように鏡に映した形が元の形と重ならない構造を持った鏡像異性体のうち、一方が使われています。しかし、最初にどうやって一方の鏡像異性体が選ばれたのかは不明です。今回、EE-アゾベンゼン二量体という鏡像異性体を持たない化合物に円偏光を当てることで、鏡像異性体を持つEZ-アゾベンゼン二量体を、鏡像異性体比に偏りを持って作り出す新しい反応を見出し、その機構を明らかにしました。見出された物質と新しい"絶対不斉反応"は、自然界の"ホモキラリティー"達成の起源を説明する新しい分子機構の提案として興味が持たれます。
本成果は、NNNS chemistry blogで取り上げられ、解説されています。

   
     

K. Rijeesh, P. K. Hashim, S.-I. Noro, N. Tamaoki "Dynamic induction of enantiomeric excess from a prochiral azobenzene dimer under circularly polarized light"
Chem. Sci., 2015, 6, 973-980

2014/03 生体分子機械の完全光制御に成功しました。


われわれのからだの中では、ナノメートルサイズの機械、いわゆる分子機械が活躍しています。その分子機械を生体外に取り出し、その働きを人の手で制御できれば、従来の固く嵩張る機械とは異なる "しなやかでコンパクトな機械" を、新たに人が利用できることにつながります。われわれは、生体由来の分子機械の一つであるキネシンに対して働く光応答性阻害剤を新たに合成し、それをキネシンに加えることで、キネシンの運動活性を好きなときに自由に光ON−OFF制御できることを見出しました。
この成果は、ナノテクノロジー関連web site “Nanowerk”でNanotechnology Spotlightsとして取り上げられました。

左の図は、キネシンの活動によって移動する微小管(チューブリンというタンパク質のチューブ状集合体)の運動が光スイッチされる様子の模式図。下の動画は、微小管の運動の様子を顕微鏡観察したもの。観察しながら紫外光または青色光を1秒間することでキネシンの活性をONまたはOFFにスイッチしている。

   

K. R. Sunil Kumar , Takashi Kamei , Tuyoshi Fukaminato , and Nobuyuki Tamaoki "Complete ON/OFF Photoswitching of the Motility of a Nanobiomolecular Machine"
ACS Nano, 2014, 8(5), 4157-4165

2012 本研究を中心にした解説記事が雑誌「化学」に掲載されました。

2011/12 中心不斉の動的制御に関する研究が、Nature Chemistry誌でresearch highlights(PDF)として取り上げられました。

2011/11 アミノ酸などの不斉要素である中心不斉を動的に発生させる新しい方法を提案しました。

     
   

アゾベンゼンを2つ置換したメタン誘導体を考案し、アゾベンゼン部位のトランス−シス光異性化反応によって、分子中の不斉中心の発生と消失が誘起されることを実証しました。自然界分子の鏡像異性体の起源の解明や3D表示などで重要な偏光制御材料の開発に寄与するものと期待されます。本成果は、ChemViews MagazineのNews欄に“Central Chirality by E/Z Photoisomerization”の表題で取り上げられました。

   

P. K. Hashim, Nobuyuki Tamaoki "Induction of Point Chirality by E/Z Photoisomerization"Angew. Chem. Int. Ed., 2011, 50, 11729-11730

     

フォトクロミック反応による液晶の制御に関する最近5年間の展開をまとめた総説が、Journal of Photochemistry and Photobiology CにおいてInvited Review Paper として出版されました。左は、本領域の内容を模式的に表す図。

 

   
     

Schematic representation showing that the combination of photochromic compounds, liquid crystals and the action of light produces various dynamic functions for molecular machines, optical memories, lasers, and light modulators.

Nobuyuki Tamaoki, Takashi Kamei "Reversible photo-regulation of the properties of liquid crystals doped with photochromic compounds"J. Photochem. Photobiol. C-Photochem. Rev., 2010, 11(2-3), 47-61

2010/03 光駆動分子機械に関する論文が最もアクセス数の多い論文に選ばれました。

我々が最近発表した光駆動分子機械に関する論文(Meethale C. Basheer, Yoshimi Oka, Manoj Mathews, Nobuyuki Tamaoki A Light-Controlled Molecular Brake with Complete ON-OFF Rotation [Full Paper] Chem.Eur.J., DOI:10.1002/chem.200902123(Early View))が、Chemistry-A European Journal誌の論文の中で「2010年2月の最もアクセス数が多かった論文の中の一つ」(Most accessed articles in 02/2010)に選ばれました。(URLはこちらから)

 

   
2009/6 JST 平成21年度シーズ発掘試験A(発掘型)に採択されました。

JST 平成21年度シーズ発掘試験A(発掘型)
「輝度向上フィルムを目指した光応答性キラル液晶の実用化開発」 研究代表者 玉置 信之(URLはこちら

 

     
2008/11 光応答性液晶の研究がNature誌webサイトで紹介されました
     
   

面不斉に基づく光応答性キラル添加剤の合成と液晶中での可逆的反射色変化に関する当研究室の研究がNature Asian Materialsで紹介、解説されました。

 

   
     

1. M.Mathews, N. Tamaoki, "Planar Chiral Azobenzenophanes as Chiroptic Switches for Photon Mode Reversible Reflection Color Control in Induced Chiral Nematic Liquid Crystals. J. Am. Chem. Soc. 130, 11409–11416 (2008).

2008/01 新規フォトクロミック化合物を販売開始
           

東京化成工業(株)は、当グループで開発しました新規フォトクロミック化合物2種(カタログ番号D3618, D3619)の試薬としての販売を開始しました。

本フォトクロミック化合物は1,8-ジアミノナフタレンから1段反応で合成され、スピロペリミジン骨格を有しています1。発色体が可視光域全体に広がっており調光材料として優れた特性を有しています。また、アミノ基を有するためさまざまな化学構造修飾が可能です。

 
         

1. R. Davis, N. Tamaoki, "Novel Photochromic Spiroheterocyclic Molecules via Oxidation of 1, 8- Diaminonaphthalene", Org. Lett., 2005, 7, 1461-1464.

2. R. Davis, N. Tamaoki, "Modulation of Unconventional Fluorescence of Novel Photochromic Perimidine Spirodimers", Chem. Eur. J., 2007, 13, 626-631.

 
 
2007/06 Advanced Functional Materials 誌の表紙を飾りました。
           
「アゾベンゼン含有オリゴペプチドの自己組織化の光制御」に関する論文がAdv. Funct. Mater.表紙を飾りました。
(Vol. 17, 2007)
Y. Matsuzawa, K. Ueki, M. Yoshida, N. Tamaoki, T. Nakamura, H. Sakai, M. Abe
"Assembly and Photoinduced Organization of Mono- and Oligopeptide Molecules Containing an Azobenzene Moiety"
Adv. Func. Mater., 2007, 17, 1507-1514

 

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